子供のためのメディアセミナー


先日、子供のためのメディアセミナーというものに参加して来た。地元の自治体主催で小学校の先生方、メディアの専門家がプレゼンテーションをしながら、保護者と議論を交わすものだった。
今の世代の子供達は、デジタルネイティブというらしい。生まれた時、物心ついた時からスマートメディアがある世代。我々のように後から接した人間は、デジタルイミグラント(移民)というそうだ。
今回はスマートフォンやコンピュータゲームの近年の問題、子供のスマートメディアへの接し方についてが主なテーマだった。

参加した保護者も、自分の子供が小学校低学年から高学年、中学生と様々で、まだスマホを持たせてない保護者からは、何歳頃から子供にスマホを与えればいのか?などの質問もあった。
専門家の意見は、もちろん明確な適性年齢などはなく、遅ければ遅いほどいいということだったが、高学年になるとスマホは90%以上の所有率、宿題やグループチャットによるコミュニケーションが確立されているため、持っていないと仲間外れにされたり、情報伝達がされなかったりと一概に遅いのが良いとも言えない、という親の意見もあった。

習い事をしている子供は、迎えに来てもらうために昔の携帯電話、いわゆるガラケーを持たされている子もいるが、持たせる目的をまず考えるということから始まり、どのように管理するかなど、質問は多岐にわたり、すべての子供に同じ正解は無いということ。一方では、子供のスマホ中毒に心配しながら、親もスマホ中毒になっていないか?ということもある。ゲームやチャットにハマってしまうのは何も子供だけとは限らない。もちろん子供はハマりやすく、制限を自分でかけることが難しいが、親がスマホ中毒なら子供に制限するのは更に難しいだろう。

実はこのセミナーの数日前、著者の子供のクラスである問題が起こった。それは、ニュージーランドのモスクが襲われたテロ事件の犯人の殺戮動画がクラスのグループチャットでまわってしまったのだ。
ある生徒が親戚から転送された動画をチャットに投稿し、何人かの生徒はそれを見てしまった。たまたま気がついた親が学校の先生に相談し警察に通報され、数日後には学校に警察が来ることになってしまった。
スイスではこうした動画転送拡散は違法である。今回は、拡散した生徒の処罰はなかったが、次は未成年でも処罰の対象となると釘を刺されお灸を据えられたようだ。
それにしても、そうした動画が簡単に拡散されてしまう問題はこれからも出てくるだろう。今回の件は、幸い早い段階で親が気がついて、動画を見て気分の悪くなった生徒もいなかった。

次のテーマは、スマホやタブレットで何をしているか。男女別に統計を見てみると、女子はチャット、男子はゲームと言う傾向だが、ゲームの場合はPS4などのTV/コンピュータゲームが加わる。特にオンライン型の対戦ゲームFortniteは人気で、何万人と言う人が世界中で同時にプレイしている。これが実にリアルに作られていて、ゲームをしない著者が見ても画のリアルさ動きのスムーズさなどには感心してしまう。空も飛べるし、武器を得て仲間と協力して相手を倒すこともできる。
撃たれた際の流血シーンなどは無いが、銃声などの音声はリアルで、子供のうちからこの音を聞き慣れてしまうのもどうなのかと思う。危ないゲームだと言う人も多く、見知らぬユーザーから音声通話で声をかけられたりもするため、自分の子がコンタクトを取っているケースもある。これ以外にもマインクラフトと言うゲームもオンラインコミュニティ型のゲームで、こちらはゲーム中に親しくなった男に誘い出されて、誘拐された事件も起きている。

ゲームのやりすぎも問題だが、やはり最大の心配事は、見知らぬ悪い大人との接触、いじめ、そして前述の違法動画の閲覧であろう。
子供はまだあやしい人間や物に対してのフィルターが出来上がっていない。その子の年齢や経験にもよるが、昔よくいわれた「知らない人にはついていかないように」と言うことがスマホやPCゲームの中でも言える。
スマートメディアの登場により、現在の親は心配事がいくつも増えてしまったように思う。
しかしながら、スイスではこれを真剣に議論し、多くのセミナーを開催している印象を受けた。問題が解決しなくとも、こうしたセミナーで関心を高めて行くことが、子供を守ることにつながって行くのだと思う。データが蓄積すれば、次の世代への対策にもなる。
積極的な取り組みが、周囲の意識をも高めていくのだと感じたセミナーだった。