今月、SWN-SogaPlanningは、おかげさまで事業登録から10年を迎えます。
クライアント様各位、関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。
この10年を少し振り返って見たいと思います。
始まりは、ちょっとした縁がきっかけでしたが、何かしら覚悟のようなものは持っていた覚えがあります。
10年続いたというよりは、クライアントの方々に小さなことでも頼りにされて、今日まで続けさせてもらっている気がします。

事業登録をしたのは、住んでいたドイツからスイス・バーゼルに戻りビザが下りた後の年末でした。再度の移住というプライベートにおいても人生の転換期だったわけです。
すでにドイツの頃のクライアント様を抱えてのスタートでしたが、仕事を依頼していた人間がその土地を離れてしまう場合、おそらく業者変更という選択をする方が多いと思うのですが、「今後もあなたにやって欲しい」と言われて、大きなモチベーションとなったことは今でも忘れません。その後も継続していただいた上、別のお客さんもご紹介いただくなど、本当に感謝しています。

しかし、拠点をスイスに移したわけですから、スイスのマーケットで活動を開始することになります。スイスにはドイツの前に1年住んでいましたが、特に人脈があるわけではありませんでした。事前に在スイスのいろんな方々とコンタクトを取り、各地の日本のイベントに赴き、スイス在住の先輩日本人の方々と知り合い、顔を覚えてもらい、日本語新聞のインタビューを受け、こうした行動が運よく誰かの目にとまりその方が主催の別のイベントに参加させていただいたりして、徐々にネットワークが広がっていきました。同時にスイスワンダーネットという日本語情報サイトを設置し、スイス関連のニュースや現地での生活情報をウェブ配信し始めました。ドイツに比べてマーケットも小さく、在住の日本人も少ないので、少しドイツの時とは違うアプローチが必要でした。

スイスはご存知多言語国家で、特にドイツ語圏とフランス語圏では、いわゆる「溝」があります。それは日本人ネットワークでも似たようなもので、この溝を超える交流が少ないように思っていました。しかし、いつしかフランス語圏にもクライアント様をご紹介頂き、制作や管理などをさせていただいていることは、自分にとっても喜ばしいことです。実際に、フランス語圏とドイツ語圏に支店を持つクライアント様のところでは、デザインのヒアリングをそれぞれの支店でスタッフさんに行ったところ、全く違う好みや考えで、同じ国の同じ会社なのにこんなにも違うものかと思いながらも、貴重な経験でもありました。

日本人のクライアント様を主に受け持ってはいますが、スタッフさんはスイス人だったり、現地のサーバー関連会社は当然スイス人スタッフのため、ドイツ語、英語でのやりとり、対応が必要でした。特に不具合などの問題が起きた際のやりとりにおいて、問題解決できた時の達成感は自信にもなりました。ウェブサーバーに関しての不具合はできれば起きて欲しくないのですが、もし仮に一度も起きずに10年過ぎてしまったら、と思うと大変な経験もありがたく感じます。問題が起きた際の対応の仕方、いかに落ち着いて解決に導くか、そうしたこともまた重要であると学んだ時期でした。

他にもこの10年間、たくさんの出来事がありました。2011年に起きた東日本大震災では、遠く離れたスイスでは無関係に思われる方もいますが、実際には世界中の在外邦人が今後に大きな不安を抱いた時期でもあり、各国の日本人社会にも様々な動きがありました。当然クライアント様にも変化が見られました。特に大震災に伴った原発事故は、我々の生活環境を考え直す機会にもなり、スイスの人たちとも議論をしました。

振り返ればあっという間ですが、自分の人生の中でも非常に濃い10年間を過ごしたと思います。個人事業という小さな事業体に反して、大きな責任があるわけですが、この責任を全うするために、仕事に関わってくれている人たちにも改めて感謝したいと思います。個人事業ゆえ、たくさんの協力者がいることも忘れてはなりません。
そして、この10年、やはり家族の理解なしにはできなかったことでもあり、じっと見守ってくれていることに感謝しています。

月並みな言い方にはなりますが、やってもらって助かった、役に立ったと言われるような仕事を意識し、期待に応えられるよう努力していきたいと思います。
今後ともSWN-SogaPlanningをどうぞよろしくお願い申し上げます。

SWN-SogaPlanning
曽我周一

2017年12月