日本を出てから今年で10年が経とうとしているが、学生時分に海外で過ごした1年間より、今の方が確実に日本の状況を把握している。それもインターネットのおかげ。実際にSNSでは、全く連絡も取りあっていなかったような幼少期の友人とコンタクトする事が出来、一時帰国の際に再会を果たした。お互い記憶をたぐり寄せながら、当時の卒業アルバムや写真を持参し、昔話に花が咲いた。実に20年ぶりの再会だった。

 そしてつい最近、高校時代の友人とFBで繋がり、途切れていた近況などをメールで確認し合った。自分が日本を出てから数年はコンタクトがあり、子供が生まれたときなども連絡をもらっていたので、比較的連絡は取り合っていたほうだが、それでも気がつくと、コンタクトが途切れて数年は経っていた。
彼の近況は、大体想像した通りで変わりなかったが、それとは別にどうしても気になっていた事があったので聞いてみた。

 それは、10年程前ちょうど自分が日本を出る頃に癌になった友人のこと。彼とは卒業後、連絡は途絶えていたが、一度友人の結婚式の2次会で会った。一緒にばか騒ぎをして、高校時代と変わらない彼だったが、まさかその数年後、闘病生活に入ろうとは思いもよらなかった。そして、今回FBで繋がった友人に聞いてみると、その友人は何年か前に亡くなっていた。

 彼は腕の骨に癌が見つかり、転移を防ぐため、肩から腕を切除するという過酷な手術をしていた。その事までは聞いていたが、その後の近況は分からず、結局連絡が途絶えてしまっていた。

 前述の通り、日本を離れて10年経とうとしている。もちろん、その間、何度も一時帰国をしているが、自分の日本での記憶は、10年〜13年前が一番強く残っている。だから、普通なら忘れていそうな何でもない事を覚えていたりして、友人達が驚くこともしばしば。

 その自分の記憶が正しければ、最後に彼と会ったのは12年程前。
高校時代、彼とは他の友人も交えてよく遊びに行ったし、想い出は学校外にもたくさんある。そんな彼との記憶を巡らせ、その日は眠れなかった。

 FBで繋がった友人の「もう思い出せないくらい前に亡くなった」というメールが、何ともやりきれず、当時声をかけれなかった事を悔やむ。実際、日本を離れる前に電話しようか迷ったが、まもなく海外に移住するという浮き足立った自分にはできなかった。そもそもかける言葉が無かった。友人達の間では、既に過去の話しとなっている様子だが、自分には今回知らされた友人の死をまだ受け入れる事が出来ない。もう少し時間がかかりそうだ。